包丁の研ぎについて、一口アドバイス


まず基本の き

包丁には大きく分けて、三通りの作り方があります。それにあわせて研いでください。

片刃包丁(出刃包丁や刺身包丁など
薄いハガネが平らな面(刃裏)にペタリと貼り付けてあります。平らな面はあまり研がずに、表の斜めになった方を主に研ぎます。

・両刃包丁(菜切り包丁など)
 両側が柔らかい鉄やステンレスで真ん中に、堅いハガネが挟み込まれています(割り込み鋼)。両面から同じ回数ずつ研ぎます。

・全鋼包丁(牛刀や普通のステンレス包丁)
全体がハガネで出来ています。片刃に研いでも、両刃に研いでも構いません



板前さんの包丁の切れ味に負けない 研ぎ方講座

これであなたも、今日から板さん!!


まずは砥石を揃えよう。

荒砥石・中砥石・仕上げ砥石の三本は準備しましょう。
荒砥石と中砥石。中砥石と仕上げ砥石などがセットになったものもあります。



荒砥石各種

左 GC(グリーンカーボランダム)
  柔らかいですが、よく研ぎ下ろします。
  このサイズは大型で \2,730
  一般的な小型は\800〜 \997  205mm×50mm

中 よく研げて、砥石も減りにくいシャプトン
  ♯120   \3,150 お勧めです

右  一般的なカーボン砥石サイズは205mm×50mm
  価格は\787〜\1200

  A   B   C   D
中砥石各種 一番よく使う中砥石は、少し高い品物を選んだほうが、楽に研げますよ。

左 A・一般的なキングデラックス#1000
  価格\1,260

B  お勧めですシャプトン大変よく研げます。
 #1000  価格 \3,150

C  コンビ砥石。写真ではよくわかりませんが、裏表に粗砥と中砥石または、中砥石と仕上げ砥石などが合わされています。価格\1,155 〜\2,040

右D  ドラゴン砥石 価格\1,830
仕上げ砥石各種

左・ノミやカンナの仕上げによく使われるキングゴールド \6,000

中・少し柔らかめの砥石 \4,620

右・一番ポピュラーキングS3 価格 \1,470
ご家庭で包丁を研ぐだけなら、これで充分。
砥石の面をまっすぐに直す砥石。

砥石の台。これがあると研ぐ時に手が台に当たらず、とても楽に研げます。


 又砥石が減ってくぼんでしまったものは、ブロックや専用の砥石、金剛砂などで平らに直しておきましょう。

★砥石は研ぐ前に二、三分水に漬けておきます。
★砥石がすべると研げないので、下にフキン等を置きます。
★薄くなった砥石は研ぎ難いので、研ぎ台を作るとか、台付きの砥石を求めると便利です。



さあ、両刃包丁を研いでみましよう。

まずは荒砥石から

新しい包丁や欠けなど無くて殆ど痛んでいない包丁は、中砥石からはじめても構いません。

まず、砥石をぬらします。水をかけてみて水を吸い込むようなら、もう少し水に浸します。

写真の様に45度前後に包丁を置きます。
この角度はあまり気にする事はありません。直角でも構いません。
一番研ぎ易い角度で研いで下さい。

指の位置は重要です。
左手の人差し指と中指は、研ぎたい所の上に必ず置きます。
右手の親指は、出来るだけ刃先に置いて、下に押し付けます。
包丁の研ぎで一番重要なのが、背中をどのくらい浮かせた角度で研ぐか、です。

写真のように、刃先を指で押し付けてみてください。
刃先は砥石に当たっているはずです。
この角度が一番よく切れる角度です。
背中に100円硬貨、三枚挟むとかよく言われますが、それは上げすぎ。シロートさんの研ぎです。
(肉きり包丁は別、そのように刃先だけを研ぎます)

板前さんの研ぎを目指すなら、一枚挟めるかどうか、という角度がベストです。
さあ研ぎ始めましょう。
ゆっくりと、大きなストロークで、砥石全体を使う気持ちで、力は出来るだけ下に押し付けると速く研げます。

ただ、あまり向こうまで包丁が行き過ぎ、砥石から包丁が落ちてしまうと、指に大怪我をしてしまいます。気をつけて、ゆっくりでいいです。その内速くなります。

あまり背中を上げずに、ピタと置いた感じで研いでいると思いますが 〈 背中をあまり上げずに、しかも刃先を研ぐ感じ 〉 で研ぐと理想的な軽い丸研ぎになって、しかも早く研げます。
研ぐコツは先端(切っ先)からから、根元まで全体を研ぐ事。
根元、中間、切っ先と6箇所ほどに分けて研ぎますが、その都度、右手の指を置く位置も、研ぎたい場所の上に必ず移動して研ぎます。

よく切っ先の近くだけ、凹んでいる包丁を見ますが、あれは指を移動していない為、指を置いた位置だけが凹んでしまうのです。
研いで行くと、カエリが出ましたか。
刃先を指で触ってみると、砥石とは反対側に、ザラザラとカエリが出ます。このカエリが切っ先から根元まで満遍なく出ることが肝心です。

出ていないところがあれば、そこだけを研ぎます。

新しい包丁はここまで簡単に出来るのですが、今まで丸研ぎしていたり、先ばかり研いでいた包丁は大変時間が掛かります。
そんな時は一度、私どもに研ぎに出して修正するのもいい方法です。
片面が研ぎ終わったら、裏面に移ります。
裏面も表と同じ様に研ぎます。
裏面もカエリが切っ先から、根元まで満遍なく出ていることを確認してください。

この時、まだ欠けガ残っていたら、又、表裏同じ様に研ぎます。欠けが無くなれば、もうそれ以上荒砥石で研ぐ必要はありません。

すぐに中砥石での研ぎに移ります。

次に中砥石に移ります。

中砥石でも荒砥石と同じ様に研ぎます。
このときも、砥石が低いと指が下に当たってしまいます。
写真のように台付きの砥石なら、指が下に当たらず楽に研げます。
研ぎ易い研ぎ台を自作したり、砥石に台を貼り付けるのもいい方法です。
荒砥石のときと同じ様に、カエリが出るまで研ぎます。この時荒砥石の筋が残っているようなら、その筋がなくなるまで研いで見ます。
裏面も同じ様に、カエリが出るまで研ぎます。
いよいよ仕上げ砥石にかかりましょうか。
中砥石で終わってもいいのですが、板前さんの切れ味を求める人は仕上げ砥石まで研いで見ましょう。
仕上げ砥石で研ぐか、研がないかで切れ味に大きな差が出ます。

仕上げ砥石の場合は、ここまでで終わりというものでは有りません。刃先だけチョコチョコと研いで終わっても構いませんし、たくさんお気の済むまで研ぐと切れ味はよくなります。
表から研いで、裏を研いで、又表から研いで、裏を研いでいるうちにだんだんとカエリが取れ始めます。切れ味もだんだんと鋭くなります。
切れ味を試すのは、親指の腹で刃を触ってみる。手の毛を剃ってみる、頭髪を触ってみる。爪の上を滑らせてみる、新聞を切る。などです。
如何ですか切れるようになりましたか。

ちなみに私どもでは、10万円以上の仕上げ砥石を使って仕上げをしています。
皆さんに負けられませんからね。

ご家庭で研いで切れないのは、あまり立てて研いでいるので、刃先が鈍角になってしまったか、カエリが出るまで研いで無いかのどちらかです。

それと最初から仕上げ砥石だけで研いでも、全く切れませんので注意してください。
仕上げ砥石はあくまで、目を細かくするだけです。一本の砥石だけで研ぐのでしたら、中砥石だけで研いで下さい。

ご質問はメールで送って下さい。


次は出刃包丁・刺身包丁・薄刃包丁などの片刃包丁の研ぎです。




刃物の大喜(はもののだいき)